機械器具設置工事業は、建設業29業種の中でも「取りにくい」と言われる業種です。それには、はっきりした理由があります。
結論から言えば、理由は3つ。対応する国家資格が極端に少ないこと、そもそも機械器具設置に該当するかの業種判断が難しいこと、そして工事実績の証明が難しいことです。ただし近年の改正で、以前は諦めるしかなかった会社にも道が開けています。この記事で、壁と突破口の両方を解説します。
この記事のポイント
- 取りにくい理由は対応資格の少なさ・業種判断・実績証明の3つ
- 建設業法上の機械器具設置の範囲は非常に狭く、業種判断が出発点
- 対応する施工管理技士がなく、従来は実務経験10年の証明が中心
- 令和5年7月の緩和で営業所技術者になれる対象が拡大
- 以前の発注証明書の運用は廃止され、他の書類で代用可能に
需要は急増している:自動化・DX化とコンプライアンス
近年は、技術革新や人手不足対応のDX化などで、工場の自動化が大きく進歩しています。それに伴い、メーカー側や施主の要望、業界のコンプライアンス強化により、機械器具設置工事業の許可取得を希望される企業が増えています。
背景には金額の問題もあります。工作機械や測定機の単価はどんどん上がっており、据付工事を含めると簡単に500万円を超えてしまうのです。「うちは機械屋であって建設業者じゃない」と思っていた会社が、取引先から許可を求められる——このパターンのご相談が増え続けています。
前提:建設業法の「機械器具設置」は非常に範囲が狭い
まず業種判断の話です。扱うのが機械工具や工作機械だからといって、必ずしも機械器具設置工事業に当てはまるとは限りません。建設業法でいう機械器具設置工事業の範囲は、非常に狭いのです。
機械器具設置工事は、機械器具の組立てなどにより工事現場で機械器具を据え付ける工事ですが、組み立てた機械が電気設備・管設備など他の専門業種に該当する場合は原則そちらの業種で判断されます。実際、とび土工工事業・管工事業・電気工事業などが当てはまるケースも見受けられます。また、組立てを伴わない単純な搬入・設置は、そもそも建設工事にあたらない場合があります。
つまり「機械を据え付けているから機械器具設置」とは言えず、業務内容の聞き取りからの専門的な見極めが出発点になります。
壁①:対応する施工管理技士が存在しない
多くの業種では、1級・2級施工管理技士の資格者がいれば技術者要件はクリアです。ところが機械器具設置工事業には、対応する施工管理技士の資格が存在しません。対応する国家資格は非常に限られており、従来は実務経験10年での証明が中心でした。
さらに、元請として大きな案件を受けるための特定建設業許可となると、1級資格者等が求められるため、対応資格のないこの業種では極めて難易度が高くなります。
壁②:実績はあっても「証明」が難しい
実務で本当に問題になりやすいのは、機械器具設置が取りにくいという以前に、会社の工事実績の証明が難しいことです。機械器具設置は通常の建設業とはニュアンスが違う部分があり、実績はあってもそれを証明する資料の整理が難しい場合が多いのです。
かつては、さらに大きな壁がありました。以前の愛知県の初回申請では「発注証明書」に取引先の代表者印が必要で、取引先が超大手企業ばかりの機械商社さんは、本当に実績があっても代表印がもらえずに躓くことが多かったのです。
現在ではこの取り扱いはなくなり、他の書類で代用できるようになりました。以前のルールで諦めた方も、現在のルールなら取得できるかもしれません。
もうひとつ、機械工具商社さんの定款には「工事」「施工」という文言が入っていないことが多い、という特徴もあります。文言がなくても許可の取得はできますが、その分、証明資料が増える傾向があります。定款変更をする場合の文言のご提案にも対応しています。
突破口:令和5年7月の営業所技術者要件の緩和
そして朗報です。令和5年7月、営業所技術者(旧・専任技術者)の要件に緩和措置があり、機械器具設置工事業の営業所技術者になれる対象の方が増えました。
「建築施工管理」「電気工事施工管理」「管工事施工管理」の検定合格者について、実務経験3年または5年で機械器具設置の営業所技術者になれるようになったのです(当該資格そのもので要件を満たす方は資格で登録します)。
従来、資格で取得できない業種は学歴以外での短縮が不可能でした。すでに施工管理技士が在籍している企業はもちろん、これから採用する場合も、この改正を考慮すると新規取得や業種追加の道筋が立てやすくなります。
当法人からのアドバイス
当法人は、過去に多数の機械器具工事店・工作機械の製作会社・商社様からのご相談やご紹介をいただいてきました。すぐに取得できるお客様もいれば、機械器具設置関連では簡単にはいかない会社様も多く、その時は難しくても、数年後に取得できるように長年かけてお付き合いするケースもあります。
機械関係の建設業許可は、場数を踏んでいないと理解が難しい分野です。当法人は機械器具設置工事業にはとくに強い自信があります(もちろん、取得の可否は事案によります)。工作機械・搬送設備・自動化設備まわりの話は、内容そのままお聞かせください。
以前の発注証明のルールで諦めた方も、今の制度なら取得できるかもしれません。工作機械や自動化設備まわりの話は、内容そのままお聞かせくださいね。
→ 実務経験10年の証明方法|資料が残っていない場合は? → 建設業29業種の一覧と選び方【取得難易度つき】
よくあるご質問
この記事に関するご相談は、かなで行政書士法人へ
名古屋市中区のかなで行政書士法人は、建設業許可を専門とする行政書士法人です。代表は建設業界出身。愛知県の申請実務を熟知したチームが、御社の状況に合わせて最短ルートをご提案します。
初回相談無料|TEL 052-212-8770(平日9:00~18:00)
執筆・監修:かなで行政書士法人 代表 落合健太郎(行政書士)

