建設業許可の専任技術者要件が緩和されました
建設業を営む際に必要とされる専任技術者の設置要件について、一部緩和がありました。これまでの制度では、実務経験を3年や5年に短縮するためには、特定の学科卒業が主な要件でしたが、法改正により新たな選択肢が追加されました。
改正前の要件
- 大学卒業者:指定学科卒業後、3年以上の実務経験が必要。
- 高校卒業者:指定学科卒業後、5年以上の実務経験が必要。
改正後の要件
従来の「大学卒業者」、「高校卒業者」に加えて、特定の資格合格による要件が追加されました。
- 検定合格者による要件緩和
- 一級検定合格者:一定の検定種目(第一次または第二次)に合格し、合格後3年の実務経験を積むことで、大学卒業者と同等の扱いを受けられるようになりました。
- 二級検定合格者:同様に特定の検定種目に合格し、合格後5年の実務経験を積むことで、高校卒業者と同等の扱いを受けられるようになりました。
緩和の対象となる検定種目及び対応する指定学科
検定種目 | 指定学科 | (参考)緩和対象許可業種 |
---|---|---|
土木施工管理 造園施工管理 | 土木工学 | 左官、とび・土工、石、屋根、 タイル・れんが・ブロック、鉄筋、しゅんせつ、 塗装、防水、熱絶縁、さく井、水道施設、清掃施設、解体 |
建築施工管理 | 建築学 | 大工、左官、とび・土工、石、屋根、 タイル・れんが・ブロック、鉄筋、板金、ガラス、 塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、 建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体 |
電気工事施工管理 | 電気工学 | 機械器具設置、消防施設 |
管工事施工管理 | 機械工学 | 鉄筋、しゅんせつ、板金、機械器具設置、熱絶縁、 さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設 |
※ 検定種目の第二次検定合格者については、その種別につき、当該資格で専任技術者要件 を満たす者は、当該実務経験の緩和の対象から除きます。(資格で要件を満たす方は資格で 登録します。)
特定建設業許可の営業所専任技術者要件※の扱い
法第15条第2号ロ(指導監督的実務経験を用いる特定の許可要件)で求められる、法第7条第2号要件(一般の許可要件)について、今般の改正に係る技術者要件も同様の扱いとなる。(※指定建設業は除く)
適用範囲の明確化
この要件緩和は、土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園工事業の七業種及び電気通信工事業を除く、その他の建設業に適用されました。この変更により、多くの業者がより容易に専任技術者を設置できるようになり、建設業界全体の発展が期待されます。
備考
○技術検定合格後の実務経験を要件とする項目の適用日について ・当該資格を取得した技術検定の合格発表の日※以降の実務経験を算入。なお、これまでの合格発表の日(過去15年)は別紙「技術検定合格発表日」を参照のこと。 ※令和2年度までの検定については実地試験の合格発表日、令和3年度以降の検定については第一次検定の合格発表日(第一次検定が免除されている者は第二次検定の合格発表日) ○第一次検定合格の確認資料について ・従来の第二次検定合格者の確認資料と同じく、第一次検定の合格証明書により確認。
まとめ
この法改正により、実務経験と検定試験の合格が新たな専任技術者資格取得の経路として認められました。建設業界にとって、これは朗報といえるかと思います。新規取得や業種追加の際に、ぜひご検討ください。